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Pickup Creator取材記事

刺激的な街・長田だからこそ生まれるデザイン、アート

仕事がないなら自分で作っちゃえ、と

 

DORでは、神戸で活動するクリエイターの方たちと連携して、行政や企業から発注されるデザイン、アートにかかわる事業を手がけてます。まずデザインによって何を実現したいのかをクライアントからヒアリングして、そこからプロジェクト全体の企画、提案を練ります。プロジェクトの中身によってどのようなクリエイタ―にかかわってもらうのがよいか考えて、協力を仰いで完成までの進行管理も行ったり。活動から3年で一緒に仕事をしたクリエイターはカメラマン、webデザイナー、イラストレーター、ライター、建築家、家具職人など全部で70人ほど。

私自身の本職はカメラマンなんですが、仕事が激減した時期があって、それなら自分で仕事をつくっちゃえ、と。いろんなプロジェクトを企画するようになりました。そこにぶら下がる形でカメラマンの仕事もしてます。

『下町芸術祭2017』展示風景

 

 

下町ならではの魅力を伝える

 

手がけているプロジェクトの一つが2015年から2年ごとに開いてる「下町芸術祭」。長田区の下町エリアの空き家や空き店舗、路地などを舞台に、現代アート作品の展示やパフォーマンスなどを行ってます。クリエイターと一緒になって地下鉄海岸線エリアを元気づけ、魅力を発信する「シタマチコウベ」というWebサイトのディレクションもしてます。

長田には、暮らしている人、様々な職種の人のつながりが濃い下町文化が今もしっかり息づいてます。自治会が元気で、異なる国籍やルーツを持つ人が肩を寄せ合って生きてるんです。20世紀のデザインの世界は、グラフィックデザイン、プロダクトデザインというふうに細分化されてましたけど、今はデザインしたものが置かれる空間、そして暮らし、仕事までをデザインする総合力が求められます。横断的な知識、情報に触れられる長田は刺激的な街なんです。

 

『シタマチコウベ』メインビジュアル

 

 

「デザインの地産地消」を目指して

 

さまざまな神戸のクリエイターの方たちと知り合う中で、彼ら、彼女らが大阪、京都、東京で仕事をしていることがわかりました。逆に、行政、企業からはクリエイターの姿が見えないから発注できないという声を聞きました。それなら神戸でデザイン、アートの仕事を請け負える受け皿になれればと考えてます。

神戸市のふるさと納税をPRするためのプロジェクトでは、10ほどのプロジェクトを同時に動かさないといけないのですが、市内で活躍する5人のクリエイターにディレクションをお願いしてます。これまでだとこれほど大掛かりなプロジェクトは東京の大手の代理店に発注されて、神戸でそのおこぼれに与るのが“通例”でした。
クリエイティブな仕事に関わる経済の循環構造を変えて、「デザインの地産地消」ができるようにさらに神戸でネットワークを増やしていきたいです。

 

余白を持たせるアートの力を信じて

 

都市がどんどん機能的にゾーニングされて、買い物も、遊びも仕事もしやすい最適化された街、画一化された街になってしまっています。そこにデザインやアートが入り込むことによって、異なる世界の人との交流が生まれたり、新しい発見があったり、と街の中にいい意味での余白ができるのではないでしょうか。そんな余白をこれからも街の中に増やしていけたらいいですね。

取材者プロフィール

creative unit DOR/岩本 順平

1991年兵庫県生まれ、神戸市在住。写真スタジオでのアシスタントを経て、2012年に写真家として独立。2014年から新長田/神戸の再開発エリアで劇場を運営するDANCE BOXに参加。PRディレクターとして主催公演などの広報を担当。2015年、神戸市長田区南部を舞台にした下町芸術祭の立ち上げに参加。2017年春よりデザインやアートの地産地消による地域の活性化を目的に長田の仲間たちとDORを設立。長田区や兵庫区の南部の情報を掲載する「シタマチコウベ」、瀬戸内のクリエイティブなネットワークを構築している「瀬戸内経済文化圏」など、モノだけでなくコトを作り出すプロジェクトを多く立ち上げている。