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【開発事例】蒟蒻メーカー:株式会社上野商店

■今回開発した商品
国産100%蒟蒻に、高野豆腐をねり込み、パスタ状にしています。こんにゃく独特のムチッとした歯ごたえが楽しめる新食感・新感覚の「生パスタ風こんにゃく」を開発しました。

 

■会社概要


こんにゃくに特化してありとあらゆる種類を作っています。例えば、板こんにゃく、糸こんにゃく、生芋こんにゃくなどです。煮物や炊き物などでよく使われるため、冬場はよく売れる一方で、夏場は冬よりは落ち着くのでその時期はこんにゃくのわらび餅やところてんなどを販売するといった工夫をしています。


ちなみに昨年、2019年はタピオカが流行ったので、タピオカこんにゃくをたくさん作りました。会社の創業は大正元年で、私の曽祖父が立ち上げまして、私で4代目です。創業時は八百屋で、特に根菜が多く、その中でもこんにゃく芋が多かったことからこんにゃくを作り始めたそうです。

ものがそれほどない時代だったので、加工食品を作ればそれだけ売れる時代でした。当時は、こんにゃくはまだ会社の売り上げの比率としては少なかったそうですが、私の父親である3代目の時代が高度経済成長時代ということもあって、工場を拡張したことでこんにゃくの売り上げが一気に伸びて、今のようにこんにゃくがメインの業態となりました。

 


 

■インタビュー

 

Q:コラボラボに参加したきっかけを教えてください。

コラボラボの担当者からお誘いをいただきました。
こんにゃくの世界はすごく地味なので、こんにゃくの世界に美しいデザインをしたいと思っていました。それまで、こんにゃくはデザインに費用をかける、といったような食品ではなく、売りやすいデザインで単価を抑えながら売るというのが一般的だったからです。

 

あとは、実は自分自身が絵を描くのが好きなこともあって、デザインには元々興味があったということもありますね。こんにゃく関連の会社の長男でなければ美術系に進んでいたかもしれません笑

また、別件で商工会議所さまに紹介してもらったデザイナーの方と作ったわらびもちが神戸セレクションに選ばれて、百貨店に営業にいったりしていました。やはりデザインをいれると良いな、という雰囲気になった時に今回のコラボラボの話がきたことも参加のきっかけですね。

 

Q:実際にコラボラボで取り組まれた内容を教えてください。

最初は自社分析をしていました。その資料には、こんにゃくが嫌いな人でもこんにゃくが食べられるような商品開発を目指す、ということを書いていますね。この時に開発しているタイミングでロカボブームになったこともあって、下ごしらえなしでそのまま食べられたり、簡単に調理できる、ロカボのパスタが作れたら面白いと思っていました。
自社分析を進めていく中で、レトルト殺菌装置があって、それによって長期保存が可能という資源を使いつつ、こんにゃく原料と澱粉や大豆などをくみあわせると、素敵なレシピができるのではと思って進めていました。

この大豆を使ってみるという話ですが、実は偶然から生まれているんです。長野県民のソウルフードで、粉豆腐という、高野豆腐を粉末にしたものがあります。大阪で粉豆腐を作っている会社があり、営業の方同士が仲が良かったこともあり、以前からこの粉豆腐を何かに使うことができたらと思っていたこともあって試しに使ってみましたところ、食感がパスタの麺そのものに非常に近くなって驚きました。また、粉豆腐もロカボなので相性も抜群です。まさに運命を感じましたね(笑)

開発自体は商品イメージ、商品の競合、コンセプトがうまくはまったので、企画が出来てから具体的な商品の設計まで、わりとスムーズに進んだ印象があります。結構早い段階で食べやすさや食べ方などを色々試行錯誤しながら作っていきました。食感や味、タレが絡みやすい形状などを考慮して、パスタを超えたこんにゃくパスタを目指して作りました。また、コンセプトも、こんにゃくのメーカーから、日本の伝統食文化を守りながら次世代の日本の皆さんに食べ続けていただける“カラダ快適フーズメーカー”にシフトすることを意識して設計しました。

Q.2年目でしたことを教えてください

 

2年目はひきつづきを試食しながら、販売の方法や商品のデザインを考えていきました。どこで売るのかを考えてください、とずっと言われていましたね。実はこんにゃくは本来常温でもいけるはずなのに、冷蔵コーナーにおかれることが当たり前になっていますよね。そこで今までとは発想を変えて、パスタのコーナーに置いてもらったらどうかと考えました。すると、パッケージもおのずと自立する紙のパッケージにすることに決まりました。売り先も普段のメインの展開先であるスーパーのような量販店以外にも、もう少しこだわりを持たせた売り先を挙げたりしていました。

試食面では、ゼミの場で調理してもらいながら、講師陣だけでなく、参加者や神戸市の担当者なども交えて弾力、長さ、幅などに関する意見を取り入れながら改良していきました。素材作りはメーカーなので得意としていたものの、どう調理していくかというレシピ開発が全然わからなかったので、セメントプロデュースデザインさまが運営しているレストランなどで調理してもらうなど、どうやって食べたら良いかわからない人がわかるように、レシピも作ったりもしました。フードデザイナーの方の協力も得ました。出来たレシピはインスタグラムに”karadakaitekicafe”(カラダカイテキカフェ)という名前で公開しています。

 

商品が出来上がってからは色々な展示会に出ました。
例えば農業の生産者や加工食品メーカーなどが参加するアグリフードEXPOの大阪と東京にでました。兵庫県中小企業団体中央会というところの補助があって出やすかったということも後押しになりましたね。また、三ノ宮のKIITOマルシェなどにも出展しました。

 

Q.どのような結果になりましたか?

展示会に参加した時に繋がった問屋の方が関西スーパーさまを紹介してくれて、低糖質食品コーナーを作って売り出してくれたりしました。また、展示会でNHKさまと出会って、おはようニッポンなどでも紹介してもらいました。
他には、国産農林水産物の消費拡大を目的としたフード・アクション・ニッポン アワードという賞があって、その2016年度の枠組みで、1100品の中からベスト100に選んでいただき、そこをきっかけにいろんな広がりも出ました。
業務用を作っていろんなところに提案もしましたね。ビーガン向けや、ホテルのバイキング向けなど、感度の高い人が集まるということを意識していましたね。一番最初は三ノ宮ホテルさまで朝食のバイキングメニューで採用してもらった。美味しく味付けやPOPもつけていただいたこともあって、こんにゃくパスタが人気となって、朝食で出すとすぐになくなって、そこから初めて普通のパスタがとられていく、というようになっていたそうです。笑
ほかにはデリカフェさまのメニューでも扱ってもらっています。

また、こんにゃくパスタそのものという販売以外にも、ビジネスフェアの時に出会った缶詰屋の方と4種類レシピを作って、こんにゃくバルという缶詰として販売もしました。素材は地元、兵庫県産のものを使ったものがほとんどです。
日本バーテンダー協会という協会があり、生田神社でカクテルの品評会を行っているのですが、そこでつまみとして、缶詰をだすことを提案をいただき出展しました。お酒飲む人は予算を全然気にしないこともあって、結構好評だったのでよかったです(笑)
そこから、お酒飲む人向けのおつまみ缶詰として結構需要があるのではという発想に繋がり、缶詰バーにも営業にいきました。今はお土産屋さんでも継続的を注文をもらっております。

Q.コラボラボで印象に残ったことや気づきや学びについて教えてください

 

宿題が多かったなという印象です(笑)
ですが、金谷さんの話が毎回面白いので、仕事の後に行くとすごくリフレッシュできました。みんな試行錯誤しながら毎回のぞんでいたので、参加者同士の横の連帯感がありました。いろんな業界の方々がいて、自分と同じようにみなさんが毎回課題を作って取り組んでいるのをきいていると勉強にもなり、モチベーションにもなりました。振り返ってみれば、大人になってからこれだけ勉強出来たのは貴重な機会でしたね。

実は今回のパッケージのデザインもメンバーの知り合いの方からデザイン事務所を紹介いただきました。全員女性の事務所で、自分が想像できないようなかわいいロゴやコンセプトを考えてくれたりして今回のこんにゃくパスタにピッタリの世界観でデザインを仕上げてくれました。

 

特に印象深かった学びは“売り場を作る”ということろ。今まではかわいい、かっこいい、きれい、鮮やかなデザインなどばっかりに気をひかれていましたが、誰が採用するのか、どこの棚に並ぶのか、誰が買うのかを考えたこともなかったので、そこから設計できたことがよかったです。また、わかりやすい事例がたくさんあったのもよかったです。

 

Q:今後自社でどのように生かしていきたいと考えていますか?

こんにゃくの路線は変わりませんが、現代にマッチングする方向で深掘りしたいと思っています。植物性タンパク質とこんにゃくの成分をミックスして、新しい食品を作って、日本だけでなく世界に通用するものを作っていきたいと思っています。
レトルト殺菌ができて、ロングライフで、充填保存ができて、こんにゃく芋や植物性の素材、ということを組み合わせていろいろと実現できると思っています。なので、こんにゃくメーカーというより、カラダ快適フーズメーカーとして売り出していこうと考えています。また、レギュラーのこんにゃく以外のものの比率も増やしていきたいですね。

 

Q:これから参加される方に対して一言お願いします。

とりあえずやってみた方が良いと思います。悩んでるんだったら飛び込んでみてください。そのためには、まずは説明会に足を運んでみて感じてみてください。宿題は少し多めですが、一度やりだすとどんどんのめり込んでいって、自社のことが見えてきて気がついたら多くの資料を作っていたりして、本当に気付きが多いですので、気になったらまずは情報を聞いてみてください。